
中野がおもしろそうだ。
ぜったいおもしろいに違いない。
なぜ、と言われるかも知れないが、直感とか、ひらめきとか、啓示とかいうものはだいたいそういうものだ。突然くるのである。
というわけで、きのうは友人のYさんを誘って決然として中野探検に乗り出したのである。
中野駅北口を出ると、目の前にまっすぐ伸びるのが、中野サンモール商店街。それを背骨とすると、肋骨のように、左右に無数の路地が走っている。それらの路地をさらに縦に細い路地が結んでおり、クランク状に曲がる路地があり、行き止まりがあり、複雑で無秩序な一大飲み屋街が形成されている。このエリアを香港の九龍城に例える人もいるという。
歩いているだけでも楽しい。
飲めばもっと楽しいに違いない。しかし、目移りして困るのである。
まずはどこかに入ってビールを飲みながら作戦を練ろうということになった。
とりあえず入ったのが、「ウロコ」という半分屋台みたいなお店。
テーブルの上の炭火でハマグリやししゃもを焼きながら、生ビール。開放感にどっぷりひたる。
目の前を人々がそぞろ歩いている。この街は若者が多い。
まだ明るい。夜はこれからだ!
店を出て、北へ向かって歩く。焼き鳥屋に入ろうと作戦は決めてある。
路地から路地へ歩いているうちに、映画のセットのような、鍵形の道が交わる場所に出た。何軒かの焼き鳥屋が軒を並べている。「鳥聖」という店を選び、中に入った。
青森シャモロックがこの店の名物だ。シャモロックのねぎ間、シャモロックのレバー、シャモロックの砂肝、と次々に平らげながら熱燗を流し込んだ。
なかでもシャモロックの手羽先はいいよ。骨までしゃぶりたくなるおいしさだ。
店を出て、さらに路地を奥へ入っていく。どんどん深みにはまりたくなる街である。
行き止まりの袋小路、かなりあやしい感じのスナックの看板があった。「ユンケル」と書かれていた。
階段を昇って、恐る恐る店に入ると、私よりも年上のママが一人でテレビを見ていた。
このママがじつに楽しい人だった。若いころは和文タイピストをしていたというが、そういえばそんな仕事があったんだねえ。
あっという間に終電タイムだ。
もっと歩き回りたかったんだけど。
ぜったいまた行こう、中野。
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